食と暦  夏2015  気づいたら、今年ももう夏のおわりです。耳に届く音も、蝉の声から秋の虫にボリュームダウン。薄いウールのストールを羽織って、あったかいお茶をすすり、今やっとのんびりといろんな事をふりかえっています。博多の街を山が走り抜け、夏をつれてくる、祇園山笠がもうずいぶんとむかしのことのようです。博多曲物の工房からの行き帰り、法被姿の男衆をちらほら見かけるようになって、あぁ、今年もそんな季節か。七月の梅雨がまだ明けてない頃。旧唐津街道の古民家、箱嶋邸で博多曲物の会が終わってお抹茶を頂いていると、外がざわざわ...表に出ると、お汐井取りの七つの山の男衆がおっしょい!おっしょい!古い路地をどんどん駆け抜けて行く。締め込み姿のおしりにホレボレしながら(この時ばかりはみんなかっこよく見えてしまう。笑)博多ならではの風景に、しみじみいいなぁと思った。最後の背中を見送ると、陽も沈んでまたいつもの静かな路地へ。暑い暑い夏のはじまり  お汐井取りの日、曲物工房の並びにある茶屋、箱嶋邸で開かれた、曲物と山笠見物の集い。おしゃべり好きの師匠、徳五郎さん。大好きな木の話しに熱が入り、曲げ物までいかずに流れがやって来た!笑。すてきな着物姿のおばさまたちも、畳に座ってこっくりこっくり船をこいでいたのを微笑ましく思い出す。開け放たれたむかしながらの町家の中、扇風機の音だけが響き、畳とお抹茶の鮮やかな緑が鮮明に焼きついています。茶碗に浮かぶ星座を見ながら、銘銘皿に乗ったすゞやかなお菓子とおしゃべりが、もうなつかしい記憶。  祇園樣の紋の入った菓子。きゅうりを切った断面に似てるから、祭り期間中は山の男たちはきゅうり断ちをする。  江戸末期、築140年の博多町家、箱嶋邸  艶やかなベンガラ漆塗りの装飾  かまどの神、荒神様  山にかける勢い水(きおいみず)をイメージした菓子、富貴の「水しぶき」  柚子こしょうがぴりっ、甘辛がクセになる「甘だれ餅」  七月一日 〜 十五日早朝  博多の町はあちこちにぎやか! 来福におすすめな季節。 山の男衆はやさしく男前 しびれます。笑  七月一日/飾り山笠公開|観賞用  七月九日/お汐井取り|17:30〜  七月十日/流れ舁き|山が動き出す  七月十二日/追い山馴らし|リハーサル  七月十三日/集団山見せ|博多から福岡へ山が渡る  七月十四日/流れ舁き|最終調整  七月十五日/追い山笠|4:59〜  七月九日 お汐井取り 七つの流れが箱崎浜へ向かい、沈む夕日に安全祈願して、小さな竹籠のてぼにお汐井(海砂)を入れて持ち帰ります。祭り期間中は戸口に吊り下げ、出かける時に砂をかけて、身を清め厄を払います。  今年の一番山は大黒流れ。櫛田入りで祝い目出度(めでた)を唄い納める大役です。  舁き手の水法被の背には、それぞれの町の意匠。伝統ある大黒流れは風格がある  東の一字が潔い、統一法被の東流れ  締め込み(ふんどしではない!笑)に山を担ぐ時の舁き(かき)繩と、箱崎浜の砂を入れたてぼ  曲物の会にも参加くださった可愛らしいママと娘ちゃん。後日ポッポー膳を買いに来てくれました。  先走り、招き板を持つ子どももキリリとたくましい  久留米絣の紺が粋でしまる土居流れ  けっこうな距離なので、子どもも大人もヘトヘト  あんみ食堂 ここのサラダをお裾分けしてもらった時、なにこれ!?今さらサラダに感動するなんて思わなかった。野菜やフルーツ、チーズ、木の実、ドライフルーツ、ひとつひとつ厳選された上質の味わい。特製ドレッシングがぜんぶをまとめ、材料の多さにふた口とおなじ味、食感がない。次は?次は?ノンストップで口に運びたくなる美味しさ、愉しさ。大満足のそのあとにやってくる、ルウの湖に浮かぶごはんの小島。とんこつスープと玉ねぎの甘さが上品な、湖月のカレーはさっぱりまろやか。まだまだ!と最後にやってくるのが、これまたこだわりの一夜漬け珈琲。じっくりと抽出された珈琲は、なめらかに口の中にとろける。店主の河原さんの情熱はハンパない。口も手も大忙しで、こだわりの味のレシピを教えてくれる。ドレッシングがなくなると、無性に食べたくなってしまって、西から東へ、出かけずにはいられないお店です。  山笠の時季、仕事帰りに祭りを楽しむ人たちもいっぱいいて、のぼせもん(夢中になる)気質は伝染しちゃうようですよ  耳を澄ませば祝い目出度が聴こえてくる  お酒がきいた祇園饅頭、これいけるんです♪  唯一、大きな飾り山が走る、上川端通り  川端商店街の飾り山はドラえもん♪  舁き山の前には、当番の若手が集って好い風景。光のむこうへずっと、変わらない未来がつづいているようです。