夏のこと。熊本は来民 (くたみ)の栗川団扇の工房へ行く途中、八千代座の標識を見てちょっと寄り道‥‥のつもりが、山鹿の町は素朴なみどころがいっぱいでついつい長居。熊本城下と小倉を結ぶ、豊前街道。平日ののどかな通りに静かに営業中の場所がぽつんぽつんとあって、観光客向けだけではない(ここ、大事です)、ふだんの生活の匂いがとても居心地の良い山鹿でした。
左右ふたつの扉がある三角屋根の店。(上:右から2番目)左のドアには「びわ 桃 ぶどう 掛袋あります」と書いてある農具屋さん。右のドアは「らんぷ」の文字。なんだなんだ?とおじゃますると、チェコやルーマニア、いろんな国のいろんなデザインのガラスのランプが並んでいました。ランプなんてふだん見ることないしお手頃だったので、小さめのガラスランプとオイルを買いました。冬至夏至、キャンドルナイトの日はランプで過ごすことにしています。ランプの揺らぎの灯で読む本は、雰囲気増していいもんです。(ミステリーが良。笑)
昔、蚕業が盛んだったという界隈。山鹿灯籠を乗せた繭玉人形や、お肌のお手入れ用の繭玉もありました。灯籠を頭に乗せて踊るのって重くないの?と思ってたら、(そんなアホな)和紙で精巧に作られていてびっくりです。
八千代座近くにある自家焙煎「タオ珈琲」のパイが絶品! 近くにあったら毎日通ってしまいそうな喫茶店。 ごろっと林檎半分詰まったずっしりジューシーなアップルパイ♪他にもレモン、ミート、クリームなどなどお店に入ると香ばしいパイの匂いでうっとり♪深呼吸
どどーんとかっこいい芝居小屋、八千代座。こけら落としは明治44年。今年で建築100年。江戸時代の伝統様式を受け継ぎ、人力の廻り舞台やスッポン、奈落、花道、枡席。案内を おねがいすると隅々までじっくりガイドしてくれます。裸足が気持ち良いつやつやの板敷 き。木戸口をくぐってタイムスリップ。櫓太鼓が聞こえてきそうなほど生きた文化財です。
色鮮やかな当時の商家の屋号がぎっしり!天井広告画。現存するお店もあると聞いてびっくり!中央には真鍮のガス灯シャンデリアがきらびやかで、和洋折衷が粋。
なんの気ない戸枠も八千代座紋。カタカナの「ヨ」を囲む8つの「チ」。昔のロゴマークは分かりやすくて粋です。手拭いも八千代紋。